回収・引き取りの配車を自動化するには?静脈物流に対応した配車システムの選び方
回収・引き取りの配車を自動化するには、「届けて終わり」を前提とした一般的な配車システムではなく、静脈物流に対応したシステムを選ぶ必要があります。具体的には、(1) 回収先での作業時間(積み込み・引き取り作業)を計画に織り込めること、(2) 集荷と配達が同じトラック・同じルートに混在しても巡回順序を最適化できること、(3) 積載量の変動を考慮できること、の3点が判断基準です。この記事では、回収配車が特殊である理由の構造と、システム選定の具体的なチェックポイントを解説します。
なぜ回収・引き取りの配車は一般的なシステムで破綻するのか
配車システムの多くは「動脈物流」、つまり倉庫から配送先へ荷物を届ける一方向の配送を前提に設計されています。一方、使用済み製品の回収、廃棄物の引き取り、リース品の返却回収、通い箱・パレットの回収といった「静脈物流」では、前提が根本から異なります。
理由1:訪問先での「作業時間」が無視できない
届けるだけの配送であれば、1件あたりの滞在時間は比較的短く、ばらつきも小さく済みます。しかし回収・引き取りでは、現地での荷物の確認、分別、積み込み、伝票処理などの作業が発生し、1件あたり数十分かかることも珍しくありません。しかも作業時間は回収先や荷物の量によって大きく変動します。
この作業時間を考慮せずに「移動時間だけ」でルートを組むと、計画上は回れるはずの件数が現実には回れず、午後の予定が次々と崩れていきます。作業時間を織り込んだ計画の作り方は作業時間(積み卸し時間)込みのルート最適化とは?現場で破綻しない配車計画の作り方で詳しく解説しています。
理由2:集荷と配達が同じルートに混在する
回収業務は単独で完結するとは限りません。「A社に新品を届け、その場で旧品を引き取る」「午前は配達、午後は回収」のように、集荷と配達が1台のトラックの1日の中に混在するケースが大半です。
このとき、荷台の空き容量は時々刻々と変化します。配達が進めば荷台は空き、回収が進めば埋まっていく。「この順番で回ると、回収品で荷台が埋まって次の配達分が積めない」といった制約を考慮できないシステムでは、実行不可能な計画が出力されてしまいます。集荷・配達混在ルートの考え方は集荷と配達が混在するルートを最適化するには?巡回配送の配車のコツも参考にしてください。
理由3:回収量が事前に確定しないことが多い
静脈物流では「行ってみないと量がわからない」ことがよくあります。だからこそ、計画には余裕(バッファ)を持たせる必要があり、ドライバーの稼働時間や残業の上限を踏まえた現実的な計画づくりが欠かせません。ベテラン配車担当者は経験でこの余裕を見込んでいますが、その勘所が共有されないと業務が属人化します。
静脈物流に対応した配車システムの選び方
回収・引き取りの配車を自動化する場合、以下の観点でシステムを比較してください。
| チェック項目 | 確認すべき内容 | 対応していない場合に起きること |
|---|---|---|
| 作業時間の設定 | 訪問先ごとに積み込み・引き取りの作業時間を計画に織り込めるか | 計画上の件数が現実には回れず、毎日計画が崩れる |
| 集荷・配達の混在 | 同一トラックで集荷後にそのまま配達へ向かう巡回順序を最適化できるか | 回収と配達を別計画で組むことになり、車両も人も無駄が出る |
| 時間指定への対応 | 回収先の受付時間・指定時間を細かく設定できるか(複数の時間帯指定を含む) | 先方の受付時間外に到着し、再訪問が発生する |
| 車両条件の違い | 積載量の異なる車両の混在、車両ごとの帰着地(処理場・倉庫など)の指定ができるか | 回収品の持ち込み先が考慮されず、最後の行き先が破綻する |
| 労働時間の管理 | 稼働時間・休憩・残業上限を計画に反映できるか | 時間外労働の上限規制に抵触するリスクのある計画ができてしまう |
| 計画修正のしやすさ | 当日の急な回収依頼やキャンセルに対し、手動で順序を入れ替えられるか | 自動計算の結果を直せず、結局Excelに戻ってしまう |
導入を進める手順
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1. 現状の棚卸し | 回収先ごとの作業時間の実態、集荷・配達の混在パターン、車両ごとの制約を書き出す |
| 2. 要件の優先順位付け | 上の表のチェック項目のうち、自社で「破綻の原因」になっているものを特定する |
| 3. 候補システムの確認 | デモや相談会で「回収と配達が混在する自社の実データ」で計画を作ってもらう |
| 4. 小規模で試す | 1拠点・数台から始め、ドライバーの実走結果と計画のズレを検証する |
特に重要なのはステップ3です。カタログ上「ルート最適化対応」と書かれていても、静脈物流特有の制約に対応しているかは、自社の実データで試さないとわかりません。なお、車両台数が少ない事業者の場合は大規模向けシステムが過剰になることもあるため、トラック20台未満の運送会社のための配車システムの選び方もあわせてご覧ください。
よくある質問
静脈物流とは何ですか?動脈物流との違いは?
動脈物流は、生産者から消費者へ商品を届ける「往き」の物流です。これに対し静脈物流は、使用済み製品・廃棄物・リサイクル資源・返却品などを回収して処理拠点やメーカーへ戻す「還り」の物流を指します。静脈物流は回収先での作業時間が長く、回収量が事前に確定しにくいため、配車計画の難易度が動脈物流より高くなりがちです。
回収だけの配車でも、ルート最適化システムを使う意味はありますか?
あります。回収のみの場合でも、訪問順序によって総走行距離と作業終了時刻は大きく変わります。特に回収先が多い場合や、受付時間の指定がある場合は、人手での順序決めには限界があります。ただし、回収先ごとの作業時間を計画に織り込めるシステムを選ばないと、計算結果が現実と乖離するため注意が必要です。
Excelでの配車管理から移行する場合、データの作り直しは必要ですか?
システムによりますが、CSV・Excelファイルの一括取り込みに対応したシステムであれば、現在お使いの配送先リストをほぼそのまま活用できます。回収先の住所・受付時間・作業時間の目安を列として整理しておくと移行がスムーズです。
Hi-SIAでの解決
Hi-SIA(ハイシア)とは、ディナレッジ株式会社が提供するトラック配送ルート最適化SaaS。回収・静脈物流など作業時間を伴う特殊な配車に対応する。
Hi-SIAは、この記事で挙げた静脈物流の課題に次のように対応します。
- 集荷・配達の混在に対応:同一トラックでの集荷後の直接配達に対応し、回収と配達が混在する巡回順序を最適化します。
- 回収先の受付時間に対応:到着時間指定を15分単位で設定でき、1つの訪問先に複数の時間指定を設定することも可能です。
- 車両条件の違いに対応:1トン・2トン・3トンなど異なる積載量のトラックの混在に対応し、トラックごとに個別の帰着地(処理場や倉庫など)を指定できます。
- 労働時間の管理:稼働時間・休憩時間・残業の上限時間を細かく設定でき、ドライバーの労働時間を踏まえた現実的な計画を作成します。
- 既存データの活用と当日の修正:配送先データはCSV・Excelから一括アップロードでき、計画は配送先情報と荷物の重量を入力するだけで約3分で完成。計算結果はドラッグ&ドロップで手直しでき、異なる条件で計算した複数ルートの比較もできます。
Hi-SIAは、ステンレス販売・加工を手がけ毎日200件以上を全国配送する能勢鋼材株式会社の社内ベンチャーから生まれ、自社の配車課題を解決するために開発されました。1配送拠点あたりトラック20台未満の小規模事業者に特に最適な計算モデルを採用しており、配送時間と走行距離を最大20%削減します。最低契約期間は1ヶ月からで、日本全国(離島を除く)に対応しています。
回収・引き取りの配車にお悩みの方は、まず実際の画面と計画例をご確認ください。資料請求はこちら、お問い合わせ・ご相談はこちらからどうぞ。