物流2024年問題:ドライバーの残業規制に対応する配車計画の作り方
物流2024年問題への対応は、「ドライバーごとの労働時間の上限から逆算して配車計画を組む」ことが基本です。 時間外労働は年960時間以内、1日の拘束時間は原則13時間以内といったルールを配車の前提条件として設定し、その範囲に収まるようにルートを割り当てます。 人手による管理には限界があるため、労働時間の制約を考慮して計算できる配車システムの活用が現実的な解決策になります。
物流2024年問題とは——配車の現場で何が起きているのか
2024年4月から、トラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用されました。特別条項付き36協定を結んだ場合でも、時間外労働は年960時間が上限です。違反した場合、事業者には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
あわせて、ドライバーの拘束時間や休息期間を定める「改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)」も改正され、同じ2024年4月から適用されています。1日・1か月・1年の拘束時間の上限が見直され、勤務間の休息期間も「継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない」ことが求められるようになりました。
配車担当者にとっての問題は、規制そのものよりも「1人のドライバーが1日に走れる時間が短くなった」という構造変化です。これまでベテランドライバーの長時間労働で吸収できていた配送量が、同じ人数・同じ台数では運びきれなくなります。国の検討会では、何も対策をしなければ営業用トラックの輸送能力が2024年度に約14%不足するとの試算も示されました。つまり、配車計画の作り方そのものを「労働時間ありき」に変えることが避けられなくなっています。
まず押さえるべき規制の内容
配車計画に直接関係する主なルールは次のとおりです。
| 項目 | 2024年4月以降のルール |
|---|---|
| 時間外労働の上限 | 年960時間以内(特別条項付き36協定の場合) |
| 1日の拘束時間 | 原則13時間以内(延長しても最大15時間) |
| 1か月の拘束時間 | 原則284時間以内(労使協定により条件付きで最大310時間) |
| 休息期間 | 継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない |
| 連続運転時間 | 4時間以内(運転の中断として合計30分以上の休憩等が必要) |
数値の細部には例外や条件があるため、実際の協定運用は厚生労働省の資料や社会保険労務士への確認をおすすめしますが、配車計画の設計上は「1日の拘束時間」「休憩の挿入」「月・年の残業上限」の3つを守れる形にすることが核心です。
残業規制に対応する配車計画の作り方
ポイントは、配送先のリストからルートを考えるのではなく、ドライバーの使える時間から逆算することです。手順は次の5ステップに整理できます。
| 手順 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 労働時間の現状把握 | ドライバーごとの拘束時間・残業時間を月次で可視化する | デジタコや日報のデータを集計し、上限に近い人を特定する |
| 2. 上限の設定 | 1日の稼働時間・休憩・月の残業上限を「配車の制約条件」として明文化する | 法定上限ぎりぎりではなく、余裕を持った社内基準にする |
| 3. 所要時間の見積もり | 走行時間だけでなく積み卸しなどの作業時間・休憩を含めて1ルートの所要時間を出す | 作業時間を無視した計画は現場で必ず破綻する |
| 4. 逆算してルートを割り当てる | 上限時間に収まるように配送先を各車両へ配分する | 収まらない分は車両追加・配送日の分散・外注を検討する |
| 5. 計画と実績の検証 | 帰着時刻や残業時間の実績を計画と比べ、見積もりを補正する | 毎月の振り返りで精度を上げる |
特に重要なのが手順3です。配送には荷物の積み卸しや検品といった作業時間が必ず発生し、これを見込まない計画は「計画上は13時間以内なのに実際は超過」という事態を招きます。作業時間を組み込んだ計画づくりの考え方は作業時間(積み卸し時間)込みのルート最適化とは?現場で破綻しない配車計画の作り方で詳しく解説しています。
また、この逆算型の配車は考慮する条件が多く、Excelと経験則による手作業では計算量が現実的でなくなりがちです。ベテランの勘に依存した配車は担当者の負担を増やすうえ、労働時間の根拠を説明しにくいという問題もあります。属人化から抜け出す手順は配車業務の属人化を解消するには?ベテラン依存から脱却する手順も参考にしてください。
よくある質問
時間外労働が年960時間を超えるとどうなりますか?
上限規制は労働基準法に基づくもので、違反した事業者には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。罰則の有無にかかわらず、行政の監督指導の対象になり得るほか、ドライバーの健康リスクや退職にもつながるため、月次で残業時間を把握し、上限に達する前に配車を調整する体制が必要です。
休憩時間は配車計画にどう組み込めばよいですか?
改善基準告示では連続運転時間は4時間以内とされ、運転の中断として合計30分以上の休憩等を挟む必要があります。ルートを組む段階で、運転時間が連続4時間に達する前に休憩を入れる前提で所要時間を見積もることが基本です。休憩を「現場任せ」にすると、時間指定に追われて休憩が削られ、結果的に告示違反のリスクが生じます。
トラック数台の小規模な運送会社でも対応は必要ですか?
必要です。時間外労働の上限規制や改善基準告示は事業規模を問わず適用されます。むしろ小規模事業者ほど1人の欠員や残業超過の影響が大きいため、早めに労働時間を考慮した配車に切り替える意義があります。小規模事業者に合ったツール選びはトラック20台未満の運送会社のための配車システムの選び方で解説しています。
Hi-SIAでの解決
Hi-SIA(ハイシア)とは、ディナレッジ株式会社が提供するトラック配送ルート最適化SaaS。回収・静脈物流など作業時間を伴う特殊な配車に対応する。
Hi-SIAは、稼働時間・休憩時間・残業の上限時間を細かく設定したうえで配車計画を自動計算できるため、本記事で述べた「労働時間の上限から逆算する配車」をそのまま実務に落とし込めます。配送先情報と荷物の重量を入力するだけで約3分で配車計画が完成し、異なる条件で計算した複数のルートを並べて比較できるので、「残業を抑えた案」と「台数を抑えた案」を見比べながら判断することも可能です。
配送先データはCSV・Excelファイルから一括アップロードでき、計算結果はドラッグ&ドロップで微調整できます。ドライバーアプリではGPS追跡や「到着」「配送完了」のタップ報告に対応しており、計画どおりに回れているかを管理画面で即時に確認できるため、計画と実績の検証にも役立ちます。1配送拠点あたりトラック20台未満の小規模事業者に特に最適な計算モデルを採用しており、配送時間と走行距離を最大20%削減することで、限られた労働時間の中でも運びきれる配車を支援します。